2008年4月13日日曜日

小笠原さんと院内さん

かかりつけの獣医さんの入院病棟を覗く機会ができた。

ピーターの下腹に潰瘍ができて、気づいたときは、大きな穴が開いていた。通院治療では手に負えないと思ったので、緊急入院することになった。体は大きく、声も大きく、いばりんぼうだが、実は気の小さなオス猫なので、毎朝面会に行くことになった。

入院病棟といったが、実は小さな小部屋で、作り付けの木のケージが横五列、縦二段、合計十個の病室が並んでいるだけのものだ。ピーターが一番はし、となりは去勢のため一晩だけの猫(入れ替わり立ち代りで、最初の日と次の日は白猫さん、三日目は長毛赤寅さん、四日目は空き部屋だった)、その横が、小笠原さん、またその横が院内さん、だ。

小笠原さんは、小笠原島で捕獲された猫だ。島の天然記念物の野鳥を狩るので、島内のすべての猫が捕獲され、東京都内の動物病院に割り当てられたのだそうだ。

小笠原さんは、若い真っ黒のオス猫だ。病気ではないので、野生の猫らしく、非常に活発で、あまり人間になれていない。それでも、ケージ生活でしかたなく人間との共存を考えているらしい。面会に行くと、私にも興味を示して、話しかけてくる。

院内さんは十三歳。虎ぶちのやさしいメス猫さんだ。子猫のときに獣医さん宅に養子に来たが、どうも心臓に欠陥があるらしく、ちょっと走っただけで、顔が真っ白になるのだそうだ。以来、病院生活をしている。愛想のいい猫だ。

この院内さんが小笠原さんを気に入ったらしい。

よく考えてみれば、入院する猫は、そうそういない。いても去勢、避妊のためで、長くて三日だ。病気入院でも一週間くらいで、それ以上長くなりそうな重病だと、別室の集中治療室に入院するので、院内さんとは顔をあわせない。

小笠原さんは、養子先が決まるまで、小笠原さんの横のケージ暮らしだろうし、子猫ではないので簡単に養子先は決まらないかもしれない。

小笠原さんに運良く養子先が見つかって、いなくなったら、院内さんはさぞさびしいだろう、と思う。

0 件のコメント: