2014年5月24日土曜日

猫サンクチュアリ年代記 8:梅太郎

猫サンクチュアリ年代記
8:梅太郎

梅太郎について書かねばならない。

梅太郎は、猫サンクチュアリの最初からのメンバーで、大猫サンクチュアリのリーダーの一人だった。
ほっそりした白黒の雄で、Mさんに教えてもらうまで、ずいぶん長い間、雌猫だと思っていた。シローやジローより若かったと思う。

梅太郎は賢い猫だった。給食に行くと、真っ先になきながら走ってくるのが、梅太郎だった。いつだったか、台風のあと、自転車の下の、ようやく乾いたコンクリートの上で昼寝をしていた。

梅太郎は、迫害の激しかった2006年1月、疥癬にかかり、それを苦にしてか、小猫サンクチュアリに移動してしまった。私は病気になった梅太郎を見て、心配でたまらなかった。それで、週日も、夜仕事が終わってから、缶詰を持って、梅太郎に会いに行った。Mさんが疥癬の薬を飲ませてくれたので、回復した梅太郎は、また、大猫サンクチュアリに戻った。

しかし、5月になると、梅太郎の姿が、また消えた。

ずいぶん後になってから、シローと一緒に近くの駐車場にいた、と聞いた。駐車場に行ってみたがもう誰もいなかった。

梅太郎はほかの猫みんなと仲良くやっていたが、特別親しい猫はいなかったようだ。去勢する前は雪とカップルだったのかもしれない。小雪は彼らの娘だったのかもしれない。

梅太郎がいなくなってから8年がたつが、梅太郎が元気なころ、いなくなったらどんなにさびしいだろう、と考えたのを覚えている。

梅太郎は、きっぱりと姿を消した。もう二度と会えないのを、私は知っている。


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