2014年7月12日土曜日

猫サンクチュアリ年代記 15:スカートをはいた雪


雪は白黒猫の雌で、2002年にはすでに猫サンクチュアリにいた。避妊する以前に生んだ娘の小雪がいた。避妊前は梅太郎とカップルで、小雪は彼らの娘だろう、とMさんが教えてくれた。

黒の多い白黒猫で、頭から尻尾の先まで、黒い毛皮に覆われていたが、尻尾の付け根辺りに白い筋が入り、まるでスカートをはいているようだった。顔は、鼻から下は白く、胸も腹も、手足の先も真っ白だった。

彼女は非常に賢い猫だった。私がいつも給食の後、ケーキ屋兼喫茶店で休憩しているのを知り、それで、時々、ケーキ屋まで探しに来るようになった。入り口のガラス戸越しに中を覗いているのだ。

彼女はまた、社交的な猫で、私たちのほかにも、人間の友達が複数いるようだった。梅太郎が死んだあと、駐車場に避難している間、私以外に、彼女に毎晩缶詰を運んでいる中年の男性もいた。駐車場の近くにも、彼女のなじみの家があるらしかった。

彼女は、大迫害以前にも、時々、一ヶ月くらいの単位で姿を消すことがあったが、それを知って以来、心配するのをやめた。

一番印象に残っているのは、雨上がり、私のかさの周りをぐるぐる回って遊んでいる、雪の姿だ。

雪もまた、私には不死身に思えた。ずっと猫サンクチュアリで生き続けるような錯覚が私にはあった。

だが、2009年2月から、さっぱり姿を見なくなった。いつもの放浪かと思ったが、6月になっても姿を現さなかった。ようやく7月18日、給食の時間に現れた。だが顔に生気がなく、何も食べなかった。後で、別れをつげに来たのだ、とわかった。


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